駆け出しの頃筆者は何回かいわゆる大当たりという儲け方をしたことがある。筆者は
間単に大きく儲けたあとはいつも損をしてせっかくの儲けを吐き出してきた。しかし、
諦めたり、失望したりはしなかった。いつも失敗ごとに経験を積んできたのだから、
自分は成長しているのだと考えていた。
経験は学習のための唯一の学校である。火の中に指を突っ込んだ時の熱さを判るのは
やけどをしたことのある子供だけである。間違いを犯すことは悪いことではないし、
また、間違いを犯さずにいるのは難しい。否、却ってためになるのだ。何故なら
そこから学ぶことによって利益を得られれば、むしろ貴重な知識となるからである。
しかし、二度も同じ間違いを犯してはいけない。間違いは全て進歩への踏み台とし、
将来同じ過ちを繰り返さないためには、自分の犯した間違いと損の原因を分析する
ことである。
筆者は善かれ悪しかれ経験を積むごとに知識を蓄積してきたが、結局、その知識が
最大の力となった。というのは、金はいつでも知識のある人のところにやってくる
からである。数年前、ある証券会社が突然倒産して、筆者は全資金を失ってしまった。
普通の人の考えでは筆者は破産したことになるが、友人がその時「彼は金を失ったが、
株式相場に関する彼の知識は何十万ドルにも値し、彼はまもなくその知識を金に換える
だろう」と言ってくれた。その言葉の通り、筆者は数ヶ月後には少しの資金を持って
市場に戻った。というのは以前より株式相場に関する知識が増えていたからである。
更に経験から、株式相場を予測できる統計的手法を学びとっていたので、その科学的
手法によって正しいとされた時には勇気を持ってピラミッディングをし、積極的に
相場を張って儲けることができた。筆者に知識が無く、ただ期待するだけであったら
結果はどうなっていただろうか。ウォール街の取引において「期待」という幻想に
導かれる他のトレーダーと同じく、破産したままであっただろう。
(P48)
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